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刑事コロンボ (R・ヴォーン氏ゲストの2本)
さらば提督/歌声の消えた海 プロテクター電光石火 04.10/23 ●歌声の消えた海 コロンボが休暇でカミさんと船旅に出かけ、鑑識もいない船の上で、一人で事件解決するって作りは面白い。鉛筆の芯をナイフで削ってその粉で指紋を採る、なんてのは、さすがの発想。でもそのぶん、話の運びが、いささか不自然。 犯人役のヴォーンさんを、コロンボが疑うきっかけのひとつが、「医務室の入口に落ちてたひとひらの鳥の羽根」なんだが・・。 それは羽根マクラをサイレンサー代りに、ヴォーンさんが被害者を射殺したとき飛び散ったものなんだけど、ヴォーンさんはそのあと、従業員専用の階段を、医務室まで駆け上がり、とちゅうで従業員の衣装からパジャマに着替さえしてる。これだけの激しい動きをして、なおかつ鳥の羽根みたいな軽いものが体のどっかについたまま・・ってのは、多少ムリがあると思う。 羽根だって、かならず羽根マクラのものとは限らない気がするし。医務室のマクラはアレルギーの人もいるから羽根マクラは使わない、それは判る。メキシコ行きの船内だからダウン・ジャケット着る人はいないとしても、婦人帽の飾り、みやげ物に使われてた、いろいろ可能性は考えられる。まあ、ほかにも怪しむべき要素はあったとしてもだ・・。 何やらたくらんで、でっかい眼をぎろぎろさせてるヴォーンさんは、あいかわらずイイ。齢上らしい妻にはよき夫としてやさしくふるまう、「この地位を20年かかって手に入れた」苦労人の中古車ディーラー役。 しかし、お得意先の接待やらなんやらで、何度かこの航路を利用してるうちに、船専属のバンドの女歌手と深い仲になってしまい、ゆすられる。これが殺人の動機。 ・・しかし、殺人に使った銃の領収書を、犯人にしたてようと狙いをつけたバンドマンの金庫に入れ、「銃なんて必要経費でオトせないのに、なぜ領収書を?」って逆にコロンボに疑われるきっかけになるほど用心深い男が、浮気相手の女が乗ってるの判ってる船に、わざわざ女房といっしょに乗る(しかも殺人まで犯す)ってのは、ちょっと無用心すぎて、矛盾があるよな。 まあ、完全犯罪にぜったいの自信があったからだろうし、たまたまコロンボみたいな刑事が船に乗り合わせるとは思ってなかったとしてもだ・・。 この犯人ならヴォーンさんでなくてもよかったかな、って思えてしまう、もったいない。 ヴォーンさん自身、『提督』のときほどハッタリ効かして演じてなかったようだった。そのせいか『歌声』じゃ、いちどもヴォーンさんのとなりに“イリヤが見えて”こなかった。 あらためて気づいた。ヴォーンさんて、そこそこ、流して演じることもできる人なのね。でもここ一番で、いつも洗練やキュートさを感じさせたナポさんは、相当リキ入れて演じてたんだ、さらりと演じてるように見えてたけど・・。それはたぶん、イリヤ(あるいはゲスト)との静かな、ひそかな、演技のせめぎ合いから来てたにちがいないと。 基本的に善人で、女でつまずいて、役柄としては『歌声』のほうが、『提督』よりナポさん寄りだったはずなのに、“演技してるヴォーン氏”のすがたは『提督』のほうが、ナポさんの印象に近かった。だからこそ、となりに“イリヤが見えた”。つまり、そういうことか。 おんなじ、海を背景にした物語でも、ずいぶんちがうもんだなあ・・。 ・・などと思いつつも、ヴォーンさんて、やっぱり素敵だ。 作品前半、ヴォーンさんはずーっと、白ばっかり着てるのである。ファースト・シーンでは、柔らかそうな生地の白のサイドベンツのスーツに、シャツは赤。プールで心臓発作のふりして倒れるシーンの水着も白だったし(ここで濡れ髪でベッドに横たわるシーンの横顔は、ドキッとするほどセクスィ〜であった・・)。女歌手を射殺しに行くシーンの従業員の衣装も、上が白、下が黒のお仕着せで、よく似合ってた。 後半、医務室シーンのパジャマは紺。そして、ラスト・シーンは、しぶい灰青色のスーツに、シャツは黒。 海の青にいちばんよく映る色は、たしかに、白と、青なのよね。よく判っていらっしゃる。 もしかすると、脱『ナポ・ソロ』って考えてたのかもしれないけど、いっそ、もっと軟派に演じてもよかった気もする。どうも、女歌手にうっかり手ぇ出して、つまずきそうなタイプに見えないのよね。 だって医務室の看護婦、かなりの美人なのに、口説かないんだもの〜。女には懲りてた、完全犯罪の前にそんな気になれない・・としても、ナポさんならやめとけ、やめとけと思いつつ、ぜったい本能的に口説いてるのにな〜と思えて、妙にイライラした(笑)。 コロンボがかれを疑うきっかけは、もうひとつある。犯行のあと一気に階段を駆け上がって医務室に戻ったため、その直後に看護婦が血圧と脈拍を測ったら、異様に数値が高かった。ベッドで安静にしてたはずなのに・・と。 これだって、看護婦に手ぇ出しとけば、「いやあじつは、彼女に脈とられたら、思わずときめいちゃって。お恥ずかしい」って、言いのがれ出来たのに。・・って、ヴォーンさん犯人だと、ついつい完全犯罪の手助けしたくなっちゃうなあ(笑)。 さいごに・・『ナポ・ソロ』時代からだが、ヴォーンさんのふだんキチッと整えた前髪が、ぱらりと乱れたお姿に、どうもヨワい。『提督』『歌声』とも、海風になぶられて、ぞんぶんに乱れた前髪、いやあイイ景色ですな〜!(って中島誠之助か・・笑) 04.7/14
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