神聖ヰリヤ帝国・TOPへイリヤがたいてい「眼を開いたまま気絶する」のは、この役の死にっぷりのせいと思われる(笑)
・・エリック・アシュレイ=ビット。
『大脱走』アシュレイ=ピットを忘れない

ブロンソンの追悼にと、レンタルビデオで、数年ぶりに見た。
はじめて字幕版で見て気づいたが、マッカラム様の役名、字幕や吹き替えでは「アシュレイ」になってたけど、ほんとは「アシュレイ=ピット」なのね。エリックとも呼ばれてたから、「エリック・アシュレイ=ピット」か。
なにやら名門の出らしき、由緒正しげで、そのくせ可憐な名前・・♪
エンディングのキャスト紹介では、『ASHLAY−PITT ”Dispersal”』だった。
かれは、トンネル掘りで出る大量の土を、どうやって看守にバレないように捨てるか考える担当だった。”Dispersal”は辞書ひいたら「散乱・消散」だから、「まき散らし屋」ってとこですかねー(笑)

「北海で捕虜になったあと、3回脱走」したらしい。“調達屋”G・ガーナーに「初日の感想はどうだい、海軍さん?」って声かけられてた。もぅ〜英国海軍てだけでも大ツボっo(^o^*)o
ちょっと緑がかったプラチナ・ブロンドに、いわゆる“ネイビー・ブルー”濃紺の制服が、よく映る。これがまた、収容所にいるのに、着くずさず、きちっと着てんだ〜。
“BigX”ことバートレット(R・アッテンボロー)が脱走計画の首謀者。かれとつねに行動をともにする参謀がロジャー。アシュレイ=ピットはこの2人の直属の部下だったんじゃないかな。バートレットとロジャーは、ずっと“エリック”って呼んでたからね。(なんか“ビッグX”って書くと、別のモノ連想してしまうわ、手塚世代だから・・☆)

さて・・ここでクイズです。
Q:『大脱走』で、さいしょに穴から出て脱走したのは、誰だったでしょう?
A:さいしょに穴から出たのはヒルツだが、逃げてったのはアシュレイ=ピット。

ヒルツ(マックイン)は、さいごに穴を地表まで掘り上げた。
が、測量ミスで穴が短すぎ、すぐそこにドイツ兵の歩哨がいるのを見て、穴の外から、歩哨が遠ざかって逃げられるタイミングをロープを引いて知らせる役を買って出た。
バートレットとロジャーは、まっ先に穴の出口近くまで来てたが「作戦がスムーズに行くのを見とどけてから」と、しばらくそこにとどまることにし、「一番手はきみだ」とアシュレイ=ピットを送り出す。
別れぎわ、アシュレイ=ピットはロジャーと握手して一言、「ピカデリーで会おう」(※字幕は「ロンドンで会おう」)。ロジャー「スコッチ・パブでな」・・ああ、英国人〜(^m^*)
穴から出たアシュレイ=ピット、こんどはヒルツと握手。「Thank you.Good luck!」なんかマッカラム様がマックインと握手してるの見て、わくわく。すごく豪華な、ぜいたくな時代だったのね♪

そして・・けっきょくアシュレイ=ピットは、逃げのびることができない。
駅で、上司バートレットに気づいたゲシュタポ(=秘密警察員)を、銃をうばって撃ち殺し、わざと目立つ逃げかたして、射殺される。そのすきにバートレットたちは逃げてゆく。
むかし、このせいで「あれいらいR・アッテンボローが大嫌いになった」っていうマッカラム様ファンがいたと聞いたことある。結果からいうと、その後バートレットも、ロジャーもドイツ兵に射殺されてしまうので、たしかにアシュレイ=ピットは、一見ムダ死にだったようにも見える。せっかくマッカラム様が命がけで守ってあげたのに! って怒る気持も、わかる。でも、でもね・・ちょっと待って。

思い出してみよう。脱走に成功した何人かは駅へゆき、おなじ汽車に乗った。
この汽車に乗るまえ、G・ガーナーは、いっしょに逃げてる盲目のD・プレザンスに、こう教えてた。
「まえの汽車に乗りおくれた連中が、汽車を待ってるよ・・」と。
この2人がその汽車に乗ると、ほかの車輌にバートレットとロジャー、さらにべつの車輌にアシュレイ=ピットがいる。
(ここでのかれは、サイズ合わないような帽子かぶってるが、銀の細ぶち眼鏡がお似合い。新聞読むすがたが、インテリぽくてよろし♪)
・・・・・・あれ?
まえに書いたとおり、アシュレイ=ピットは、だれより先に逃げたはず。
とすると・・乗ろうと思えば「まえの汽車に乗れた」んでは?
どうもこのG・ガーナーの口ぶりでは「まえの汽車で、何人かはすでに逃げた」って感じするもの。もっと早く乗れる汽車もあって、それに合わせて脱走計画も練られたんだろうし。あまり大勢でおなじ汽車で逃げるのもまずかろうし、逃げた人数からして、そう考えるのが自然だろう。
つまりアシュレイ=ピットは、さっさと逃げればいいのに、危険をおかしてわざわざ「次の汽車に乗ることにした」ことになる。
なんのために? もちろん、かつての上司であるバートレットと、ロジャーを待つために。
バートレットたちは「私たちも、そろそろ行かないと汽車に遅れる」といって逃げたので、たぶん本当は「まえの汽車に乗りたかった」って気がする。タッチの差ぐらいで間に合わなかったのでは。アシュレイ=ピットは、バートレットたちも来るはず・・と待ってたため「まえの汽車に乗らなかった」のか?

かれらの乗った汽車は、車内をゲシュタポまでが見回りにくる。これはつぎの駅についたら危険だと察知したG・ガーナーは、脱走仲間たちに「赤信号!」とささやいて警告したあと、盲目の連れD・プレザンスの背中を突きとばしてまで、走る汽車から飛びおりた。
この2人は、逃げることが出来た。それが許された。
だけど、アシュレイ=ピットには、それが出来なかった。自分の身の安全がなにより大事と思うなら、さっさと「まえの汽車に乗った」ろうから。
アシュレイ=ピットをまっ先に行かせたってことは、バートレットは、出来ればきみは私たちとは別行動で、単独で逃げのびたまえ、というつもりだったと思う。バートレットは、ゲシュタポに顔が知れてた。むしろ、若いかれを、危険の多い自分たちとは同行させたくないと思ってた気がする。
だからアシュレイ=ピットが駅でゲシュタポを撃ち殺すまで、バートレットは、おなじ汽車にかれが乗ってるのも知らなかったんじゃないかな。
ロジャーには「ピカデリーで会おう」と言っておきながら、アシュレイ=ピットは、自発的に乗る汽車を遅らせ、ひそかにかれらと同行した。もしかしたら自分の手助けが必要になるような危ない局面があるんじゃないかと、考えたからにちがいない。
そして・・じっさいに、そんな局面があった。
アシュレイ=ピットの死は、つまり、そういうこと。「必然」なんだ、悲しいけど。

だからさ、アシュレイ=ピットは、本当にいい顔して、死んでいったじゃないか。
バートレットを発見したゲシュタポを射殺したあと、乗客がいっせいに伏せたホームをひとり疾走し、背後から撃たれ、線路にころげ落ちる。脇腹おさえ、よろよろ歩き・・このときの脚の動きのキレイなこと!・・ばったり、あおむけに倒れる。
眼にしみるようなあざやかさで、プラチナ・ブロンドが、鉄路に散る。苦痛にゆがんではいない、その顔は満足げで、一点の迷いもない。夏の終りの陽ざしをまぶしがるような眼をしてた。
そして、ゆっくり横を向き、わずかに眼を開いたまま、絶命する。壮絶、見事だった・・レンタルビデオなのにスローにしたり、一時停止しまくってしまった。ビデオ屋さん、ごめんなさい☆
あまり表情もうごかず、必要な時しかしゃべらない役だからこそ(たんにセリフがあまりもらえなかったのか? ちなみにタイトル・ロールで名前が出るのは9番め)、さいごのさいご、大見せ場での、この動きの切れ味が光る。小さいけど、業物(わざもの)の、懐剣みたい。ただ1度抜かれ、その殺傷力と輝きをぞんぶんに見せつけたあと、折れて、役目を終えてしまう。
これでこそだ、と思う。あるいはムダ死にだからこそ、アダ花だからこそ、せつなく美しく、日本人好み。
男じゃないか、アシュレイ=ピット。あの瞬間、生命を投げ出したことを、後悔してないもの。むしろ誇らしげでさえあった。結果なんかどうだっていいんだ、やるだけやったよ、おれは・・と。
気づいたら、だーだー泣いてた。
なんて、おいしい役・・役者なら誰でもやりたがるはず、こんな役、こんな死にっぷり。マッカラム様は内心、役者冥利に尽きる、と思ってたはずよ。歌舞伎なら「××屋!」って声かかるような名場面だもん。いよぅ、真赤羅夢屋!! ってか(笑)

でもやっぱり『大脱走』は、つらい。もとは実話だと思うと、やりきれない。
あの収容所の捕虜たちは『戦場のメリー・クリスマス』の日本軍の捕虜にされた英国兵みたいに、ひどく虐待されてたわけではない。おとなしく菜園でも作ってろ、と看守に言われてたし、その菜園で採れたジャガイモで密造酒つくって、独立記念日に騒いでも、大目に見てもらってた。そんなふうに終戦まで暮してたって、かまわなかったかもしれない。“後方かくらん”・・つまり、脱走した自分たちを追うのに、ドイツ軍が兵力をいくらか、そっちに回す。言ってしまえば、それだけのこと。
ある意味、この脱走計画じたい、命がけの“ムダな努力、徒労、クタビレもうけ”とも思える。あるいは“意地”とでも。
『大脱走』見終えて、あの脳天気で疲れない『ナポ・ソロ』が、も〜ぜんと恋しくなり、ちょっとだけ録画ビデオ見てから、寝た。なんだ・・けっきょく毎晩、自発的に“イリヤン・ナイト”にしてんじゃん、さいきん(笑)
03.10/10
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