「イリヤン日記」#9−なぞの名曲『ハバナギラ』−1.
#26『計算機に体を張れ』・・第2シーズンの第1作。新シーズンへの意欲にみちた、ドキドキするような傑作。
語りたいことはいっぱいあるが、なによりも、その冒頭。
舞台は南米。道ばたにすわりこみ、ガウチョ(=南米のカウボーイ)・スタイルで、フラメンコ風ギター弾いてる男。はじめ帽子にかくれてて顔が見えないが、顔をあげると、まぎれもなくイリヤではないの! 立ち上がり、ギター弾いて歌いながら、歩き出す。流しのギター弾きふう。
さいしょは本職のフキカエかと思ったが、ギター弾いてるとこから顔あげるとこまでカットの切れめがないから、どう見ても本人が弾いて、歌ってる。いがいと野趣ある、男っぽい声なのにおどろく。
「♪はーばーなぎら、はーばーなぎら・・」
って歌い出ししか聞きとれないが、民謡風の曲。フラメンコかな? それともジプシーの曲かな? そんな感じに聞こえる、短調の、哀愁ある曲なんですわ。
イリヤはこのあと、この国の悪名高い刑務所に囚人として入りこむ。悪徳刑務所長の部屋の灰皿から、みじかくなった葉巻の吸いガラを失敬し、ずーっと横くわえにして野外作業したりしてる。
でもって「♪はーばーなぎら」の曲をずっと口笛で吹いてる。葉巻くわえたまま口笛って、無理と思うぞ・・(笑)。♪タバコくわえて 口笛吹いて〜 って器用な唄がむかしあったな(^△^)゛
上半身ベストだけ、炎天下の作業で陽灼けした、汚れ風情のイリヤが、ブラピみたいでめっちゃ素敵〜♪ 書いてるとキリないんで、ぐっとこらえて、曲のことだけ書こう。
聞いた話では、マッカラム様はじっさい、かなり歌えるそうで、LP出したこともあるそうな。
そのうえ、なぜかマイノリティ好きでもある。『ナポ・ソロ』には、ジプシーがらみの話が2本あるが(#14『猛犬にご注意』・#24『ウラにはウラをかけ』)、両方ともイリヤ中心、どっちもこのテーマならではの傑作だった(とくに#24は、全シリーズ中、屈指の大傑作。これはまた、いずれ・・)。
#46『原子力西部劇』のインディオといい、第3シーズン#47『ハー・マスターズ・ボイス』の日本といい、なぜか必ずイリヤ中心。外見は英国系そのものだけど、マッカラム様はもしかして、いくらかマイノリティの血が混じってるかも? と、勝手に想像してる今日このごろ。
※ついでだから一言。「インディオ」「ジプシー」を、私は差別用語とはぜんぜん思ってないので、あえて使う。『ナポ・ソロ』は60年代に作られた作品だから、かなり差別的表現は出てくるけど、それもアメリカの歴史の一部と思うし・・これもいずれ、まとめて書こう。
まあいい。話を『ハバナギラ』にもどそう。
このまえ、NHKで再放送中のTVドラマ『ダーマ&グレッグ』見てた。
これは上流育ちのきまじめな弁護士グレゴリーと、風変わりな家庭に育った奔放なダーマが恋におちて結婚する、その環境や考えかた感じかたのズレが笑える、って物語だが。
ダーマの両親は2人とも、見るからに60年代ふう自由人で、ヒッピーというか、フラワー・チルドレンの生き残り。正式な結婚をせず、菜食主義やヨガや座禅にこり、庭に野菜のタネをまき、ヤギを飼い、おなじ庭に仲よしだったおじさんを遺言により埋葬し(※もちろん米国でも法律違反)、ダーマが結婚する齢なのにもう1人、下の子を生み、ダーマのために子種を授かるあやしげな秘薬を調合したりする。
その父親が、若いころバンドやってた、という話題になり、こんな会話が出てくる。
ダーマの母「あなたは舞台で『ハバナギラ』をえんえん26分間も演奏したのよねえ」
ダーマの父「あれは、終わらせられなかったんだ」
『ハバナギラ』・・?! おおっ、もしかしてイリヤの歌ってた、あの曲では?!
しかも、こんな会話にさらりとタイトルが出てくるなんて。アメリカでは、60年代に青春を過ごした人ならピンとくる、けっこう有名な曲なのかも?
某ナポさんBBSで質問してみたところ、お答をいただいた♪(スパシーバ!)
『ハバナギラ』はどうやら、イスラエルの民謡。成人式や、結婚式などで歌われる、おめでたい曲らしいのだな。
そういわれてみれば、ユダヤ民謡の曲調ぽくもある。以前、某ニュース番組の特集で、イスラエルへ帰った欧州系ユダヤ人を、イスラエルのユダヤ人が歓迎して歌ってる場面を見た。このときの曲はたしか『シャローム』とかいう。これがまた、はなやかな哀愁のある、すばらしい曲だった。『ハバナギラ』は、あの曲にふんいきが似てる。
ユダヤ系の音才ってのは、イタリア系とならんで、世界一ですからなあ。クラシック音楽の世界を見れば、周知の事実。
ちなみに『ダーマ&グレッグ』のダーマの両親の姓は“フィンケルシュタイン”。もしかしてドイツ系ユダヤ人? って苗字ではある。だから、ここでイスラエル民謡が出てくるのは、フシギではないけど。
しかし、そのユダヤ系の民謡を、なぜにイリヤが・・?
イリヤのマイノリティ好きとも考え合わせると、ひとつの結論が出そうな気もする。閉ざされた時代のソ連から、なぜイリヤが亡命でもなく、すんなり渡米できたかの答のような気もする。が、まあ・・結論を急いではいけませんね。確信、ないし。
ともかく『ハバナギラ』はいま、気になって気になって仕方ない曲。もっと、くわしいこと知りたい。せめてフル・コーラス聞いてみたい(イリヤはほんの数小節しか歌わなかった)・・いま、熱望してるとこ。
ひきつづき調査、続行。
追記:
文中の『ハバナギラ』の話題が出てくる『ダーマ&グレッグ』は、シーズン5−#3『ラジオ・ダーマ』でした。ダーマのパパが20分以上も演奏したのは「どこで終らしていいか判んなかったから」って意味だと思いこんでたけど、「ハイになってて終らせられなかった」って意味にもとれますね・・。
04.2/20
08.2/11 改訂